税理士としてスタートを切るには、2年の実務経験が不可欠です。
「これから税理士を目指したい」という人の中には、この条件にハードルの高さを感じる人も多いと言われています。
例えば30代で税理士を目指すとして、そこから2年の実務経験を得ることは現実的なのでしょうか?
先に答えを述べておくと、30代でも40代でも、2年の実務経験を得ることは実現可能です。
しかし先輩税理士の体験談によると、やはり税理士を目指す場合、そのスタートは早ければ早いほど良いとされています。
今回の記事では、税理士の資格取得に向けてのキャリアの積み方について解説していきましょう。
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この記事の目次
税理士としての資格取得には2年の実務経験が不可欠
税理士としての活動を開始するためには、試験合格以外に「2年間の実務経験」が必要です。
また、サラリーマンとして働く場合にも、ただちに「資格のある税理士」と名乗ることはできません。
(例えば、名刺に「税理士」と入れることはできません)
これは税理士の仕事は判断が難しい事柄が多く、試験に合格したからといってすぐにひとりで業務を行うことが困難だと考えられているためです。
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「2年の実務経験」はどのように証明すればよいのか?
税理士になるための「2年の実務経験」を証明するためには、所長税理士が発行する在職証明書が必要となります。
しかし会計事務所によっては、2年の実務経験があっても所長から証明をもらえないというケースも耳にします。
そんなことが本当にあるのでしょうか?
ネットでは、所長が在職証明書を発行したがらないのは、発行してしまうと、そのスタッフが退職し、独立するリスクが高まるためとされています。
しかし、こうしたケースが実際にあったという話は、税理士さんたちから聞いたことはありません。
ただし、正規雇用と非正規雇用で在籍期間の数え方が違うことは理解しておきましょう。
税理士試験の全科目合格者は選ばれにくい?
会計事務所よっては、全科目合格者を採用したがらないという噂もあります。
これはすでに税理士試験に合格した人物を採用すると、税理士として必要な2年後にはすぐに独立してしまうと考え、雇用を避けられる場合があるという理由によるものです。
確かに初心者を採用して何年にもわたって指導したあげく、すぐに独立されては会計事務所として2年の投資が無駄になってしまいます。
それだけでなく、社員の独立の際に顧客を引き抜かれる可能性も無いわけではありません。
以上のような理由から、30代や40代の未経験者で、すでに税理士試験に合格している人は、会計事務所の採用の対象外とされることがあるといわれています。
こちらも実際にそうしたケースを耳にしたことがないため、詳細は分かりません。
ただ税理士を目指す際には、試験対策と同時に、早めに実務を経験させてもらえる会計事務所を探すのが近道といえます。
税理士の職場で2年間の勤務は困難?
「2年間の税理士事務所での勤務が厳しい」という声も耳にします。
近年はコンプライアンスの見直しが図られ、労働条件についても改善されつつあるようですが、それでも税理士がハードな仕事であることには変わりありません。
「1年間で他の所の3年分の経験を得られる」というのを売りにしている会計事務所もあるようですが、実情は他の所の3倍の労働時間を要求されるだけのことが多いようです。
私の経験としても、そうした会計会社で連日の徹夜や、月の休み無しという状況を経験したこともあります。
独立を考えている税理士にとって、短期間で多くの経験を得られることは魅力的に映るものですが、その代償としての健康の害を無視するべきではないでしょう。
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税理士という職を選ぶ意義
税理士を目指す際に、「実務経験2年」という条件にハードルの高さを感じる人は少なくありません。
そうした場合は、「自分は独立を目指すのか?」という質問を自分に投げかけてみましょう。
実を言うと、独立の道を歩むつもりがない場合は、無理して実務経験を積む必要はありません。
なぜなら「実務経験2年」というのは、「税理士登録」して独立する際に必要な条件であって、税理士登録しないと税務に関われない訳ではないからです。
確かに、私が知っている範囲でも30代で独立を果たしている税理士は多くいます。
当然、企業に経理担当として勤める分には、税理士登録の必要はなく、実務経験が問われることもありません。
それどころか、企業の経理担当者は、税理士試験の合格者ですらない場合がほとんどです。
以上の事から分かるように、税理士としての独立や開業が目標ではなければ、税理士試験へのチャレンジを見送る選択も十分考えられるでしょう。
会計事務所や企業の経理部への就職や転職を考える際に、専門的な知識や技能の向上は当然必要ですが、税理士の資格取得が絶対条件とは限らないのです。
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